質問 2003年1月30日
九州大学 生体防御医学研究所 佐々木氏から
細胞の核内に存在すると考えられている分子について免疫電顕を行う場合、
pre-embeddingでは核膜を可成り破壊しなければなりませんがどなたか経験がありました
らご教示下さいませんか。 また、post embeddingで同様な経験がありましたらお願
いします。
長崎大 和泉伸一 先生の回答
pre-embeddingの場合:
1.組織側では、
1)核膜の構造の破壊を極力最小に防ぐには;
a.組織ブロックの固定に、paraformaldehyde/glutaraldehyde混合液を使用する。
paraformaldehydeは2-3%,glutaraldehyde0.1-0.5%が一般的には有効です。
但し、検出したい物質によっては、抗原性が減弱ないし消失することがあります。
b.固定液の洗浄は、10% sucrose/PB,15% sucrose/PB, 20% sucrose/PBと段階的に
上昇洗浄し、最終的に5% DMSO加20% sucrose/PB(1h)として、cryostatの凍結切片を得る。
これにより氷の結晶による膜の破壊が防げる。切片の厚さは6-8ミクロンの厚めの切片が
破壊が少なくて良い。5% DMSO添加によって薄切が難しくなるが、cryostatの庫内温度を
-20から-24の低温にすれば切れる。それでも困難ならば、省いてもかまわない。
2.抗体側から;
1)小さいサイズの抗体を用いる。酵素抗体法で検出する場合、直接法ならばHRP標識IgGFab
またはHRP標識IgG(Fab)2を用いる。間接法ならば、一次抗体はIgGを、二次抗体はHRP標識
IgGFabまたはHRP標識IgG(Fab)2を用いる。これにより抗体が核膜を通りやすくなり、
抗原に到達して十分な反応が得られる。また、Fabまたは(Fab)2は、非特異的反応
(background staining)がほとんどない利点がある。
2)DAB/H2O2の発色液につける前に、DAB単独液に30分間切片を浸ける。
DAB/H2O2の発色液に直接つけると、切片表面だけに反応産物が急激に形成され、
核内に標識抗体・抗原複合体があっても、検出できないあるいは薄い結果となる。
post-embeddingの場合:
1.組織側では、
1)水溶性樹脂包埋切片を用いる。
抗原性の保持と、抗体の抗原への反応性が良い。その中で、LR White, K4M, JB4,
immunobedの順に反応性、電子照射による破壊の耐性、超微細形態の保持が良い。
2.抗体側から;
1)金コロイド標識抗体を用いる。
金コロイド抗体で反応する前に、BSAなどで前処理しておき、標識抗体の非特異的反応を防ぐ。
また、反応後は、2% glutaraldehydeで処理して、移動しないようにする。
以上、参考にしてください。結果を知らせていただければ幸いです。